「わたしたちは良いことよりも悪いことのほうに敏感だ。・・・人は,怖がりすぎても死なないが,恐れ知らずだと死ぬ可能性が高くなる。」(『希望の歴史』,ルトガー・ブレグマン,野中香方子訳,文藝春秋)
○生き物は,危険を回避して生き延びる必要から,自分の生存を脅かすような出来事や情報に注意や関心を向けがちです。同じように,私たち人間も,世の中の肯定的な側面より,否定的な側面にばかり目を向けてしまいがちです。しかし,世の中の否定的な側面にばかり目を向け,世の中を否定的に捉えるようになってしまえば,この世の中で生きていることや,この世の中に生まれてきたことに喜びや幸せを感じることができなくなってしまいます。生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送りたいと望むのであれば,この世の中を肯定できるということが大前提になるわけですから,私たちは,世の中の否定的な側面だけではなく,肯定的な側面にも広く目を向けられるようになる必要があるのではないでしょうか。さらに言えば,私たち人間は,放って置けば世の中の否定的な側面にばかり目を向けてしまいがちなのですから,世の中の肯定的な側面にこそ積極的かつ意識的に目を向けるように心がけるべきなのではないでしょうか。何事にも一長一短はあるものです。否定的な側面にしか目を向けないのは,肯定的な側面にしか目を向けないのと同じように,余りにも偏った不公平な物の見方と言えます。(5)(9)関連