「かれほど虚栄心の少ない男は珍しい,その境遇に処し,その信ずるところを行うて,それで満足し,安心し,そして勉励している。かれはけっして自分と他人とを比較しない,自分は自分だけのことをなして,運命に安んじて,そして運命を開拓しつつ進んで行く。(国木田独歩『非凡なる凡人』)」(『心をささえる一言』,河盛好蔵,青春出版社)
○私たちは,自分の人生に満足できないからこそ,また,自分が進むべき道が定まっていないからこそ,他者の暮らし向きや動向が気になるのであり,自分と他者を比較しては他者との勝ち負けにこだわってしまうのではないでしょうか。そして,結局は,自分の人生に対する不満をますます募らせてしまったり(隣の芝生は青く見えるものです。),行き当たりばったりの(自分が進むべき方向性の定まらない)不毛な人生を送ることになってしまったりするのではないでしょうか。常に満ち足りた気持ちで自分の人生を送れている人間や,自分が進むべき道を邁進(まいしん)している人間なら,他者の暮らし向きや動向などほとんど気にならないはずです。実り多い幸せな人生を送れるようになるためにも,自分と他者を比較することなどにではなく,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに常に深く思いを致し,心から感謝する習慣を身に付けるなどして足るを知り,常に満ち足りた気持ちで自分の人生を送れるようになることや,自分が本当にやりたいと思える好きなことを見付け,そこに自分が本当に信じることのできる自分なりの目標や理想を見いだすなどして人生の指針を明確化し,自分が進むべき道を邁進することなどにこそ,限りある大切な時間やエネルギーを使いたいものです。(2)(4)(6)(7)(11)(13)(14)(18)(20)関連