「貧乏を貧乏とも思わず愚痴も文句も言わずに暮らせるなら,それでいいんだ」(『それでもこの世は悪くなかった』,佐藤愛子,文藝春秋)
○金持ちだから幸せとは限らないように,貧乏だから不幸とは限りません。貧乏であることを否定的に捉え過ぎるからこそ,私たちは,貧乏であることに強い不満を抱き,貧乏な自分は不幸と思い込んでしまうのではないでしょうか。貧乏であることを否定的に捉え過ぎることなく,むしろ,すがすがしいくらいに思っていれば,貧乏であることに不満を抱くこともなく,貧乏な自分を不幸と思い込んでしまうこともないはずです。もちろん,衣食住が最低限確保できないような状況は何としてでも解消されるべきですが(国の福祉政策などによって),贅沢(ぜいたく)さえ言わなければ,人間が生きていくのに必要な物やお金など,本当は高が知れているのではないでしょうか。自分は不幸であると思い込んでしまわないようにするためにも(不幸にならないようにするためにも),金持ちにならなければ,すなわち,他者と競い合って他者より多くの物やお金を手に入れなければ幸せになれないなどといったデマを鵜呑(うの)みにしたり,そのようなデマに踊らされたりすることなく,貧乏暮らし(質素な暮らし)の中にさえ生きる喜び幸せを無限に見いだせるように自分の感性を磨き,幸せに対する感度を高めることにこそ,関心を払い,力を注ぎたいものです。(4)(6)(7)(8)(10)(14)(21)関連