「どんな境遇にも悪い面だけでなく,神に感謝すべき良い面があるのだ。」,「どんな境遇にも慰めはあるもので,幸不幸の貸借表を書こうと思えば,貸方の欄にも書くべきことは必ず見つかるものである」(『ロビンソン・クルーソー』,デフォー,唐戸信嘉訳,光文社)
○危険を回避して生き延びることを強く求める生き物本来の性向として,また,世の中の否定的な側面に焦点を当てて報道する傾向のあるマスコミの影響もあり,私たちは総じて,物事の悪い面(否定的な側面)にばかり目を向けがちですが,物事にはたいてい一長一短があるものです。物事の悪い面にしか目を向けようとしないのは,物事の良い面(肯定的な側面)にしか目を向けようとしないのと同じく,余りにも偏狭で不公平な物の見方と言えるのではないでしょうか。私たちは,放って置けおけば自然に,物事の悪い面にばかり目を向けてしまいがちなのですから,人間に対する信頼や人生に対する希望を見失ってしまわないようにするためにも(自分や他者や人生を深く愛せるようになるためにも),物事の良い面にこそ,積極的かつ意識的に目を向ける習慣を身に付けたいものです。(1)(5)(9)関連