「みずからの内部に満たされない欲望があるのに気づくとき,彼らは自分が不幸だと感じる。この欲望さえ満たせば満足が手に入る。そう信じて,彼らは必死でその欲望を叶えようとする。だが欲しいものが手に入ったとたん,それが当たり前になり,とくにうれしく思わなくなる・・・結局は,欲望が満たされなかったと同じくらい不満のままに終わるのだ。」(『良き人生について』,ウィリアム・B・アーヴァイン,竹内和世訳,白揚社)
○人間の欲望には限りがありません。放って置けば,とどまるところを知らず,どこまでも肥大化していきます。したがって,自分の欲望に強い意志を持って意識的にブレーキを掛けない限り,私たちの心が満たされるということはありません。たとえどれだけ多くの物を手に入れたとしても,欲しい物は次から次へと現れ,私たちは常に不満を抱えたまま,死ぬ瞬間まで,それらの物を追い求め続けることになってしまいます。これが本当に幸せな人生と言えるでしょうか。常に満ち足りた気持ちで心豊かな人生を送りたいと願うのであれば,私たちは自分の欲望にブレーキを掛けられるようになり,たとえそれが必要最小限の物であったとしても,自分が持っている物(自分に与えられている命なども含め。)だけで満足できるようになる必要があるのではないでしょうか。是非とも,より多くの物(必要以上の物まで)を手に入れることにではなく,自分の欲望にブレーキを掛けられるようになることにこそ,関心を払い,力を注ぎたいものです。(4)(6)(14)(20)関連