「他者を信頼していなければ,実は一時も生きてはいけない。」(『幸福の哲学』,岸見一郎,講談社)
○豊かで安全で便利な社会で暮らしていると,ついつい忘れてしまいがちですが,私たちは独りでは(孤立無援の状態では)一時も生きていられません。目に見える直接的なものも目に見えない間接的なものも含め,数知れぬ他者の支えや助けがあえばこそ,私たちは生きていられるのです(改めて言うまでもなく,私たちが,自分が好きなことに打ち込み,自分の可能性を花開かせたり,実を結ばせたりすることができるのも,その他のことを他者が分担し,負担してくれているからです。)。数知れぬ他者の支えや助けがあえばこそ,私たちはこれまで生きてこられたのだし,これからも生きていけるのです。要するに,私たちは,他者を信じ,他者を頼らなければ生きていられないのであり,生きるということは他者を信じるということに他なりません。他者を疑い,他者を競争相手(敵)と見なして互いに足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするような生き方ではなく,他者を信じ,他者を協力相手(味方・仲間)と見なして互いに仲良く助け合ったり,幸せを分かち合ったりするような生き方をこそ目指したいものです。(11)(14)関連