「現代の知識人には,簡単明瞭な物の道理を侮(あなど)る風があるが,簡単明瞭な物の道理というものが,実は本当に恐いものなので,複雑精緻(せいち)な理論の厳(いか)めしさなぞ見掛け倒しなのが普通であります。」(「文学と自分」(『小林秀雄全作品 13』所収),新潮社)
◯真理はいつでも簡単明瞭なのである。簡単明瞭な言説を,けっして侮(あなど)ってはいけない。複雑精緻(せいち)な言説を,意味もなく有り難がる必要などまったくない。大切なことは,真理を掴(つか)むことであり,見栄(え)を張ることではない。(2020年2月25日)