「讃(たた)えられても喜ばず/非難されても不快にならず/自らの功徳をよく保つこと/それが貴人の特徴である。」(『サキャ格言集』,今枝由郎訳,岩波書店)
○褒められれば嬉(うれ)しくなり,貶(けな)されれば悲しくなり,あるいは,腹が立つのが人情ですが,他者からの評価など,そのほとんどは噂(うわさ)の域を出ず,ちょっとしたことですぐに手のひら返しに変わってしまうような無責任でいい加減なものです。そのような他者からの評価を気にして自分の信念を捻(ね)じ曲げたり,自分を見失ったりすることほど馬鹿馬鹿しいことはないのではないでしょうか。他者からの評価など余り気にせず,自分の信念や自分が本当に納得することのできる生き方(自分に恥じることのない生き方)を貫き通すことや,自分が好きなことに打ち込み,自分が信じる目標や理想に向かって自分が信じる道を自分の歩幅で一歩ずつ前進し続けることなどにこそ,気持ちを集中し,限りある大切な時間やエネルギーを使いたいものです。また,褒められることが多くなれば貶されることも多くなるのが世の常です。心の平安を乱されることなく自分が好きなことに打ち込みたいと望むのであれば,「能ある鷹は爪を隠す」とも言うように,なるべく限り目立たないように慎み深く控え目に「縁の下の力持ち」として生きるのが賢明なのかも知れません。(14)関連