社会や時代の風潮に逆らってでも自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛け,自分の人生に満足できるようになるなら,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さ,より具体的に言えば,この世の中に生まれてこれたこと(この世の中で生きるチャンスを与えられたこと)の有り難さ,自分の命を守り,自分が生きることを可能にしてくれている大自然(人体も含め。)の神秘的とさえ言える精妙な仕組みや働きの有り難さ,自分の人生を成り立たせてくれている数知れぬ他者の直接的又は間接的な支えや助けの有り難さ,人類史上最も豊かで安全で便利な社会で生活できることの有り難さなどにも自然に思いを致すことができるようになるのではないでしょうか。そして,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに深く思いを致し,心から感謝できるようになるなら,暖衣飽食の生活を送りながらも自分の人生を自分の思い通りにしたいなどと欲張るようなこと(ままならない人生に不平不満ばかりを募らせてしまうようなこと)はなくなり,人生はままならないものであるという事実をあるがままに受け入れられるようになるとともに(人生はままならないものであるという事実をあるがままに受け入れられるようにならない限り,人生は,常に期待を裏切られては失望するだけのものになってしまう危険性があります。),自分は不幸であるなどという思い込みから目を覚まし,自分が幸せであることに気づけるようになるのではないでしょうか。そのためにも,経済成長を促すべく,私たちが必要以上に欲張り続けることを歓迎したり,奨励したり,そそのかしたりする現代社会の風潮は,多少なりとも改められる必要があると思います。