「たとい今その人が幸福でないにしたところで,その人の料簡(りょうけん)一つで,未来は幸福になれる」(『漱石「こころ」の言葉』,矢島裕紀彦,文藝春秋)
○自分は不幸であると思い込んでいる人間は,自分が不幸であることの原因や責任を境遇や運命に求めがちですが,たとえどのような逆境にあろうとも,たとえどのような不運に見舞われようとも,自分は幸せであると心の底から思えるなら,その人は幸せなのですから(逆に,たとえどのような順境にあろうとも,たとえどのような幸運に恵まれようとも,自分は幸せであると心の底から思えないのなら,その人は幸せではないのですから),人間の幸不幸を最終的に決めるのは,境遇や運命ではなく,自分の心の持ち方ということになります。私たちは,自分の心の持ち方次第で(自分の意志や努力次第で)誰でも幸せになれるということです。恵まれない境遇や不運をいくら呪ったところで,いくら嘆き悲しんだところで,境遇や運命を自分の思い通りに変えることなど絶対にできないのですから,そんな暇があるなら,どのような境遇や運命の下にあっても,常に幸せであり続けられるように自分の心の持ち方を変えることにこそ,限りある大切な時間やエネルギーを使いたいものです。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに常に深く思いを致し,心から感謝する習慣を身に付けるなどして,「生きてるだけで丸儲(まるもう)け」(さんま)と心の底から思えるようになるなら(生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら),私たちはきっと,たとえどのような逆境にあろうとも,たとえどのような不運に見舞われようとも,生きている限りは幸せであり続けることが可能になるはずです。(前書き)(3)(4)(6)(7)(9)(15)関連