「あなたがたの一生に必要な分（の衣類や食料）は，すでに生まれながらにそなわっているのですよ。それ以上に欲しいと思って奔走してはいけません。」（『道元禅師（上）』，立松和平，新潮社）
○欲張れば，切りがありません。したがって，私たちは，欲張り続ける限り，たとえどれだけ多くの物を手に入れたとしても満足することはできず，常に不満を抱えたまま，より多くの物を追い求め続けることになってしまいます。そして，挙げ句の果てには，不平不満を募らせるがままに，自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまいます。欲張ることさえやめれば，私たちは，たとえ必要最小限の物しか持っていなかったとしても満足することが可能になり，自分は不幸であるなどと思い込むようなことはなくなるのではないでしょうか。常に満ち足りた気持ちで幸せな人生を送りたいと本気で願うのであれば，欲張ることはやめ，自分が持っている物（自分に与えられている物）だけで満足できるようになる必要があるのではないでしょうか。そして，そのためにも，自分が持っている物（自分の命，その命を守り，自分が生きることを可能にしてくれている人体や自然や宇宙の神秘的とさえ言える精妙な仕組みや働き，自分の人生を成り立たせてくれている数知れぬ他者の直接的・間接的な支えや助けなどなど）の有り難さに気づき，心から感謝できるようになる必要があるのではないでしょうか。（１）（４）（６）（20）関連
