「(寅さんは)人生にはもっと楽しいことがあるんじゃないかなって思わせてくれる人なんですよ(りん子の言葉)」(『いま,幸せかい? 「寅さん」からの言葉』,滝口悠生選,文藝春秋)
○恵まれない境遇に生まれ育つなどして,人生を過度に否定的に捉えるようになり,いま自分の目の前にある幸せに気づくことさえできなくなってしまっている人たちがいます。そのような人たちが,人生の肯定的な側面にも広く目を向けられるようになり,人生に隠されている無限とも言える生きる喜びや幸せに気づけるようになるための手助けすることは,たまたま幸運に恵まれるなどして,一足先に生きる喜びに満ちた幸せな人生を送ることができている人間にとっての,当然の務めと言えるのではないでしょうか。私たちの人生は他者の支えや助けがあってこそ成り立っているのであり,私たちは,互いに支え合い,助け合ってこそ生きていけるのですから。「生きていたって,良いことなんか何もない。」と思っている人の心の中にも,人生に対する希望を完全には失いたくないという気持ちはきっと残されていると思います。そのような気持ちにしっかり寄り添い,そのような気持ちをさりげなく自然に呼び覚ませるような人間になりたいものです。(2021年2月21日)(5)(9)(19)関連