「あの人は偉い人かも知れないが,もう古い,と考え,古いかも知れないが偉い人だとは考えたがらないのである。」(「『論語』」(『小林秀雄全作品 22』所収),新潮社)
◯真理に古いも新しいもありません。真理は時代を超越しているのであり,真理に流行り廃りなどというものはありません。時の試練に耐え続けるものこそが真理なのであり,諺(ことわざ)や古典と呼ばれる書物や古老の言葉の中に多くの真理が見いだされるのは,理の当然です。世の中の真理を,人生の真理を,人間の真理を見極めたいと願うなら,新しいものばかりを追い求めるのではなく,「温故知新」という精神を忘れないようにする必要があるのではないでしょうか。私たちがある真理に目覚めた際には,その真理を自分が初めて発見したような気持ちになってしまいがちですが,そんなことはまずないと思っていいのではないでしょうか(何百年,何千年にわたって言い継がれてきた真理であると思ってほぼ間違いないと思います。)。(2020年8月10日)(前書き)(12)(後書き)関連