「十人十色」,「百人百様」(五味太郎),「人は人,我は我」,「百の頂に百の喜びあり」(深田久弥)などとも言うように,人間にはそれぞれ個性があり,その個性に合った生き方があります。他者と競い合い,他者との勝負に勝って社会的な成功を収める(財産や地位や権力や名声などを手に入れる)ことより,自分が好きなことに打ち込み,自分が信じる目標や理想に向かって自分が進むべき道を自分の歩幅で一歩ずつ前進し続けることの方が,よほど重要なのではないでしょうか。社会的な成功を追い求めることが正常とされる世の中にあっては,社会的な成功に関心を示さず,社会的な成功に背を向ける人間は異常(変わり者,世間知らずなど)と見なされる可能性がありますが,そもそも,社会的な成功を収めることができるのは特別な才能や幸運などに恵まれたごく少数の人間に限られますし,社会的な成功を収めたからと言って,真に人間らしく実り多い(自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な),生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送れる保証などどこにもありません。むしろ,財産や地位や権力や名声などに対する執着を捨て去り,普通の平凡な人生に生きる喜びや幸せを見いだせるようになってこそ,自分が好きなことに打ち込み,自分の可能性を十分に花開かせるとともに多少なりとも他者や社会の役に立てるようになってこそ,他者を競争相手(敵)ではなく協力相手(味方・仲間)と見なし,仲良く助け合ったり,生きる喜びや幸せを仲良く分かち合ったりできるようになってこそ,実り多い幸せな人生を送ることは可能になるのではないでしょうか。