「ためになることを言う人は稀で/それを聞く人はさらに稀である。/名医を見つけるのは難しく/その言葉に従う人はさらに少ない。」(『サキャ格言集』,今枝由郎訳,岩波書店)
○古今東西の賢者によって人生の真理はすでに言い尽くされており,しかも,何一つ隠されることなく,諺(ことわざ)や格言や名言といった簡潔な形でいつでも私たちの目の前に明示(開示)されているのではないでしょうか。しかし,「金言(忠言)耳に逆らう」ということもあり(それらが私たちの考え方や生き方と余りにも掛け離れ,矛盾していることもあり),私たちはなかなかそれらの真意(深意)を理解したり,それらの重要性に気付いたりすることができません。私たちがそれらの真意を理解したり,それらの重要性に気付いたりするのは,大抵の場合,失敗や過ちや試行錯誤を何度も繰り返し,紆余曲折(うよきょくせつ)を経た人生の終盤です。しかし,人間の命は儚(はかな)く,人生は短いのですから,人生の真理を体得・実践し,真に人間らしく実り多い(自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な),生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を大いに楽しみ,味わい尽くすためにも,真理を真理であると見抜き,見分けれらるだけの眼力(見識)を,学問など(経験から学ぶことや読書なども含め。)を通じて人生のできる限り早い時期にしっかり身に付けたいものです。(後書き)関連