「社会の不平等や不公平は，もちろん是正する必要があります。しかしそれが妬みを晴らす場になるようでは，つまり〈不運な人たちの快楽を増すよりも，幸運な人たちの快楽を減らすことを旨としている〉ようでは，その社会に希望は持てません。」（『６０代からの幸福をつかむ極意』，齋藤孝，中央公論新社）
○社会的（世俗的）に成功している人たちを羨ましがったり，妬んだりしてしまうのは，私たちが，財産や地位や権力や名声などに執着しているからこそです。財産や地位や権力や名声などに対する執着を捨て去れば，社会的に成功している人たちを羨ましがったり，妬んだりするようなことは，きっとなくなるはずです。社会的な成功を収め，財産や地位や権力や名声などを手に入れたからといって，真に人間らしく実り多い（自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な），生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送れる保証などどこにもありません。むしろ，財産や地位や権力や名声などに執着すればするほど，不平不満，妬みそねみ，恨みつらみ，失意失望，自暴自棄といった心理状態に自分を追い込み，自分の一生を台無しにしてしまう危険性は高まります。たった一度きりの人生に大きな悔いを残さないようにするためにも，すなわち，社会的に成功している人たちを羨ましがったり，妬んだり，誹謗中傷（ひぼうちゅうしょう）したり，そのような人たちに罵詈雑言（ばりぞうごん）を浴びせたりするだけの人生に終わってしまわないようにするためにも，財産や地位や権力や名声などに対する執着からの解放を目指し，真剣に努力し続けたいものです。（１）（３）（７）（10）（14）（15）関連
