「明らかに,人間は天使ではない。人間は複雑な生き物で,良い面もあれば,良くない面もある。問題は,どちらを選択するかだ。」(『希望の歴史』,ルトガー・ブレグマン,野中香方子訳,文藝春秋)
○生まれ付きの善人,生まれ付きの悪人などというものはいませんし,完全な善人,完全な悪人などというものもいません。例外なく,誰の心の中にも善人と悪人が同居しています。善人を前面に押し出し,善人として振る舞い続けるなら,その人は善人と呼ばれ,悪人を前面に押し出し,悪人として振る舞い続けるなら,その人は悪人と呼ばれるというだけの話です。どうせなら,善人として生きるべきであると思いますし(悪人として生きるより,善人として生きる方が,トータルとして得であり,幸せであると思うからです。),他者との関係においては,相手の心の中に住む悪人にではなく,善人にこそ積極的かつ意識的に目を向けるようにすべきであると思います。「人を見たら泥棒と思え」ではなく,「渡る世間に鬼はなし」と思いながら生きるべきであると思います。なぜなら,相手の心の中に住む悪人にしか目を向けなければ,その相手は悪人としてしか私たちの目の前に立ち現れてくることができなくなり(相手から悪人扱いされながら善人として振る舞い続けることは,誰にとっても困難なことです。),結果的に,私たちは悪人だらけの世の中で生きていかざるを得なくなってしまうからです。(9)(17)関連