「君は君自身でい給え,と。一流の思想家のぎりぎりの思想というものは,それ以外の忠告を絶対にしてはいない。諸君に何の不足があると言うのか。」(「読書について」(『小林秀雄全作品 11』所収),新潮社)
◯生きているということは,それ自体に値打ちがあるのであり,自分と他者を比較することに,いったいどのような意味があるのだろうか。人には人それぞれの生き方があり,人生の目標は他者に勝つことではなく,自分自身に打ち克つこと,すなわち,自らの可能性に常に挑戦しながら自らが信じる理想に一歩でも近づくことである。自分と他者を比較して,自らを哀れんだり,他者を妬んだりすることに,いったいどのような意味があるのだろうか。(2020年1月4日)