「頭のいい馬鹿ほどはた迷惑な馬鹿はいない。」(『ラ・ロシュフコー箴言集』,二宮フサ訳,岩波書店)
○物事を深く知れば知るほど,それに伴って分からないことも増えてくるため,発言は慎重になり,態度は控え目になっていくのが普通です。しかし,小賢(こざか)しい人間(自分は無知であるという自覚を欠いている慢心した人間)は,物事を浅くしか知らないにもかかわらず(物事を浅くしか知らないがゆえに),生半可な知識を得て何でも知っているつもりになっているため,黙っていることが難しく,自分の知識をひけらかそうとし,何にでも尊大な態度で余計な口を差し挟んできます(その発言者が有名人である場合には,その軽率な発言に注目が集まり,一時的には多数の賛同者を得る場合もあります。)。その結果,議論は混乱し,収拾のつかない不毛なものになってしまいがちです。慢心し,他者や社会に多大な迷惑を掛けないようにするためにも,自分は無知であるという自覚を失わないようにしたいものです。少なくとも,人間は自惚れやすい(慢心しやすい)生き物であるという自覚だけは常に持っていたいものです。(12)(14)(17)関連