「自分が間違っているとはどうしても認めようとしない人以上にたびたび間違いを犯す人はいない。」(『ラ・ロシュフコー箴言集』,二宮フサ訳,岩波書店)
○私たちは経験,特に,自分の失敗経験から様々なことを学びますが,自分の失敗経験から様々なことを学び,それらを心の糧(自分を人間的に成長・向上させるための契機や原動力)にできるのは,自分の失敗を素直に認め,その責任を潔く引き受けられる人間に限られます。自分の失敗を素直に認められず,ごまかそうとしたり,言い訳をしたり,他者のせいにしたり,匿名の陰に隠れて自分の責任を回避しようとしたりする人間は,自分の失敗から何事も学べず,結局は同じような失敗を何度も繰り返すことになってしまいます。また,「独り善がりな善意ほど怖いものはない」と言いますが,善意に基づく行動は,たとえそれが間違った行動(例えば,体罰やパワハラなど)であったとしても,自分は善いことをしているという意識が強すぎるため当事者はその間違いに気付くことが難しく,無反省に繰り返されてしまったり,どこまでもエスカレートされてしまったりしがちです。善意で何かを行う際には,自分が独善に陥っている可能性について徹底的に内省した上で,また,その行動が間違っている可能性があることを十分に認識した上で,自分の行動がどのような結果をもたらしているかということを冷静に見届けつつ,できる限り慎み深く謙虚に行うことを心掛けたいものです。(12)関連