できる限り質素に暮らしてみることは,あくまでも自分が持っているものの豊かさに気付き,感謝する気持ちを思い起こしたり,自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けられるようになったりすることに意味があるのであり,自分が持っているものを減らすこと自体が目的なのではありません。したがって,感謝する気持ちを思い起こして足るを知り,必要以上に欲張ることなく自分が生きていくのに必要なものだけで満足できるようになった暁には,自分が持っているものを減らすことにそれほどこだわる必要はないと思います。自分が持っているものに執着し,それらの虜(とりこ)になってしまわないように用心する必要はありますが,それらに執着しないでいられるなら,むしろ,それらを有効活用することをこそ心掛けるべきであると思います。