「もちろん,私たちは,愛する人びとの幸福を願うべきである。しかし,私たち自身の幸福と引き換えであってはならない。」(『ラッセル 幸福論』,安藤貞雄訳,岩波書店)
◯私たちは,自分が幸せであるからこそ,自分の幸せのみならず,他者の幸せをも願い,喜び,自分の幸せを他者と分かち合うことができるのである。他者の幸せを妬み,他者の不幸を喜ぶような人間にならないようにするためにも,まずは,自分自身が幸せであるためになすべきことをなすべきである。なお,世の中には,自分を犠牲にしてでも他者のために生きたい,という人がいるかもしれないが,その他者は本当にそのような犠牲を喜ぶであろうか。自分自身を大切にできない人が,本当の意味で他者を大切にできるということはあるのだろうか。(2020年2月17日)