「老いを感じたときに,世界が透明度を増して見えてくる。目を曇らせていた欲とか,世間体とかが薄れて,視界がすごくよくなりますからね。(山田)」(『ぼくはこうやって詩を書いてきた 谷川俊太郎,詩と人生を語る』,谷川俊太郎・山田馨,ナナロク社)
○何事にも一長一短がありますが,老いることにさえ肯定的な側面はあります。実際,私たちは,老いることによって欲望の肥大化が自然に抑えられ,足るを知ること(自分の人生に満足すること)がより容易になりますし,そのことに伴って欲望によって曇らされていた心の目も少しずつ晴れてきます(必然的に,欲に目を暗まして道を踏み外すようなことは少なくなりますし,自分の目の前にある「小さな幸せ」にも気付きやすくなります。)。また,財産や地位や権力や名声などに対する執着からも解放され,他者を競争相手(敵)ではなく協力相手(味方・仲間)と見なして仲良く助け合ったり,生きる喜びや幸せを分かち合ったりすることがより容易になります。現在,社会の高齢化が大きな問題になっていますが,社会が高齢化するにつれて戦争や犯罪は減少する傾向があるとも言われています。(1)(4)(6)(9)(11)(21)関連