「要するに,豊かさも,貧しさも,各人の心の持ち方次第なのだ。・・・気の持ちようで,その人は幸福にも,不幸にもなる。幸福だなと思われている人ではなくて,自分でそう思っている人こそ,満足できるのだ。」,「運命はわれわれを,幸福にも,不幸にもしない。・・・心こそが,幸不幸の状態の,唯一の原因にして支配者なのだから。」(『エセー 2』,モンテーニュ,宮下志朗訳,白水社)
○たとえどのような逆境(恵まれない境遇)にあったとしても,自分は幸せであると心の底から思えるなら,他者の目にどのように映ろうとも,その人間は確かに幸せなのであり,その人の心は豊かであると言えます。逆に,たとえどのような順境(恵まれた境遇)にあったとしても,自分は幸せであると心の底から思えないなら,他者の目にどのように映ろうとも,その人間は確かに幸せではないのであり,その人間の心は貧しいと言えます。要するに,人間の幸不幸は境遇や運命によって決まるのではなく,最終的には心の持ち方によって決まるということです。そもそも境遇や運命を自分の思い通りにすることなど絶対にできないのですから,逆境や不運を呪ったり,嘆き悲しんだりする暇があるのなら,たとえどのような逆境にあったとしても,たとえどのような不運に見舞われたとしても幸せであり続けられるように自分の心の持ち方を変えることにこそ,限りある大切な時間やエネルギーを使うべきなのではないでしょうか。「生きてるだけで丸儲(まるもう)け」(さんま)と心の底から思えるようになるなら,私たちはきっと,たとえどのような逆境にあったとしても,たとえどのような不運に見舞われたとしても,生きている限りは幸せであり続けることが可能になるはずです。(1)(4)(6)(7)関連