「口は災いの元」，「口は禍（わざわ）いの門」，「舌は禍いの根」，「三寸の舌に五尺の身を亡（ほろ）ぼす」，「病は口から入り，禍（わざわい）は口から出る」，「掻（か）きすぎると痛くなり，しゃべりすぎると禍いを招く」，「雉子（きじ）も鳴かずば打たれまい」，「天に唾する」，「物言えば唇寒し」，「吐いた唾は飲めぬ」，「物は言いよう」，「物も言いようで角が立つ」，「沈黙は金」，「言わぬは言うにまさる」，「言わぬが花」，「おしゃべりは口のおなら」（五味太郎）などとも言いますが，私たちには自分の意見を自由に表明する権利があります。しかし，その権利の中に，他者を誹謗中傷（ひぼうちゅうしょう）したり，他者に罵詈雑言（ばりぞうごん）を浴びせたりする権利は含まれていないはずですし，自分の意見が受け入れられないからといって，他者を恨んだり，他者に危害を加えたりするのは，まったくのお門違い，見当違いであると思います。心無い一言が，他者の心に深刻な，取り返しがつかないほどに深い傷を負わせてしまう危険性もあるわけですから，不正確な情報に基づいて一方的に他者を否定したり，非難したりするようなことは，極力控えるべきであると思います。特に，大きな影響力を持つ有名人が他者を否定的に批評した場合には，多くの人間が賛同し，その傷をさらに深いものにしてしまう危険性がありますので，大きな影響力を持つ有名人は，軽々しく他者の批評をすべきではないと思いますし，批評するなら，できる限り他者の肯定的な側面についての批評をすべきであると思います。改めて言うまでもなく，自由には責任が伴います。自由に行動したり，自由に発言したりすることを望むのであれば，その発言や行動に責任を持つべきです。責任を引き受ける覚悟もないのに，自由を求めるべきではありませんし，自分が責任を取ることができないような行動や発言はすべきではないと思います。
