「ただわかったばかりで実地に応用せねば,凡(すべ)ての学問は徒労なり。昼寝をしている方がよし。」(「愚見数則」(『学生諸君!』所収),夏目漱石,光文社)
○この世の中には膨大な知識が蓄えられており,しかも,そのほとんどが,万人に対して常に開かれています。私たちは,そのような知的には非常に恵まれた世の中で生活しているわけですが,たくさんの知識を頭に詰め込んだり,クラウドに溜(た)め込んだりするだけでは意味がありません。知識は,実生活に取り入れられ,日々の生活に役立てられてこそ意味があります。真に人間らしく実り多い,生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送るためにも,たくさんの知識を行き当たりばったりに(何の目的意識もないままに)頭に詰め込むことにではなく,膨大な知識の中から自分にとって本当に必要な知識を見極め,取捨選択し,その知識を「生活の知恵」としてしっかり身に付けることにこそ,限りある大切な時間やエネルギーを使いたいものです。(前書き)(12)(後書き)関連