私たちは,欲望の肥大化を放置することなく,自分の欲望にブレーキを掛け,必要以上に欲張ることさえやめれば(足るを知り,欲望に対する必要以上の執着を捨て去れば),たとえ必要最小限の物しか持っていなかったとしても自分の人生に満足することが可能になるとともに,ままならない人生に不平不満ばかりを募らせてしまうようなこともなくなり,自分は不幸であるなどという思い込みから目を覚まし,自分が幸せであることに気づけるようになるのではないでしょうか。もちろん,そのためには,経済成長を促すべく,私たちが必要以上に欲張り続けることを歓迎したり,奨励したり,そそのかしたりする現代社会の風潮を,多少なりとも改める必要があると思いますが。自分が幸せであることに気づけるようになり,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら,私たちはきっと,たとえどのような逆境にあろうとも,たとえどのような不運に見舞われようとも,生きている限りは感謝する気持ちを忘れることなく,「日々是(これ)好日」といった心持ちで,常に満ち足りた気持ちで心豊かに幸せな人生を送り続けることが可能になるはずです。