「高ぶる者は低く見られ,卑下する者は高く見られる。(「ルカによる福音書」)」(『世界ことわざ名言辞典』,モーリス・マルー編,田辺貞之助監修,島津智編訳,講談社)
○私たちは,自慢ばかりしている人に対しては,どうしても褒める気持ちになれず,ついつい悪口を言いたくなってしまいます。反対に,自慢を一切しない人に対しては,悪口を言う気になれず,その人に代わってその人を褒めてくなってしまいます。慢心している人には今後の成長・向上がほとんど期待できず,謙虚な人には今後の成長・向上が十分に期待できるということもあると思いますが,私たちの心には生まれ付き,全体としてのバランスを取ろうとする傾向(自慢し過ぎる人に対しては悪口を言うことでバランスを取り,卑下し過ぎているに対しては褒めることでバランスを取ろうとする傾向)が備わっているのではないでしょうか。なお,この傾向は総じて健全なものと言えますが,バランスを取ろうとする余り,しばしば振り子が反対側に振れ過ぎてしまうこと(例えば,悪口を言い過ぎてしまい,相手の心を深く傷つけてしまったり,褒め過ぎてしまい,「贔屓(ひいき)の引き倒し」になってしまったりすること)がありますので,その点には留意が必要です。(9)(12)関連