「ひとには感情(こころ)というものがござる。道理や正しさを盾(たて)にとってひとの非を鳴らすのは敵を作るだけで何の利もござりませぬ」(『関ヶ原』,司馬遼太郎,新潮社)
○どれだけ正しいことを言ったとしても,愛情や真心に裏打ちされていない言葉は相手の心に届きませんし,正義を振りかざして不寛容に責め立てるだけでは,相手の素直な反省や人間的な成長・更生を促すことにはつながらず,かえって強い反発を招き,相手の素直な反省や人間的な成長・更生を難しくさせてしまうだけです。自分の気持ちを相手に伝えたいと本気で願うのであれば,こちらの愛情や真心が相手に伝わるような口の利き方や物の言い方を心がける必要があると思いますし,相手の素直な反省や人間的な成長・更生を促すことを本気で願うのであれば,「罪を憎んで人を憎まず」という精神を忘れることなく,罪は罪として,その償いはしてもらいながらも(その責任は取ってもらいながらも),相手の人間的な成長や更生の可能性を信じて粘り強く,同じ人間同士として(同じような失敗や過ちを犯す可能性のある者同士として)できる限り共感的かつ寛容な態度で向き合い続けることをこそ心がけるべきなのではないでしょうか。(3)(17)関連