「まことに一道に優れた人は,自分の欠けたるところを自覚し,目標を高くに置いているから,決しておのれを誇るということがない。」(『徒然草(日本文学全集07所収)』,内田樹訳,河出書房新社)
○人生の指針を明確化し,自分が進むべき道を明らかにするためにも,自分が信じることのできる自分なりの目標や理想を持つことは重要であると思います。また,人生に掲げる目標や理想は,簡単に到達・実現できてしまうようなものでは人生の指針にはなり得ませんし,簡単ではないにしても,努力次第で到達・実現できてしまうようなものでは,人生の途中で自分が進むべき道を見失ってしまうことにもなりかねませんので,大きければ大きいほど,高ければ高いほど望ましいと言えます。できる限り大きな目標や高い理想を持つことは,翻って自分の無知さ未熟さを自覚することにもつながりますので,何歳になっても慢心することなく,謙虚に学び,努力する姿勢や,素直に反省する態度などを保ち続ける上においても重要なのではないでしょうか。なお,人生に掲げる目標や理想は,それに到達し,それを実現することより,それに向かって自分の歩幅で一歩ずつ前進し続けること(そのことを通じて自分の可能性を花開かせ,実を結ばせるとともに,多少なりとの他者や社会の役に立つこと)にこそ意味があるのですから,目標や理想を掲げるのに遅すぎるということはありません。(11)(12)(13)(14)関連