「人が人を罰するのは,過ちを犯したことへの懲罰ではない。それは相手のためであり,その行為が何であれ,二度と同じことをしないようにするためだ。処罰は,「怒りではなく予防」でなくてはならない。」(『良き人生について』,ウィリアム・B・アーヴァイン,竹内和世訳,白揚社)
○愛情や真心に裏打ちされていない言葉は相手の心に届きませんし,厳しく非難するだけでは,相手の反省や成長・更生を促すことはできません。むしろ,厳しく非難すればするほど,相手を意固地にさせ,素直に反省することを難しくさせてしまったり,相手を他罰的(他責的)・悲観的・自棄的にさせ,人間的に成長・更生することを困難にさせてしまったりするのが普通です。正義を振りかざして相手を不寛容に責め立てることは,自分が偉くなったようで気持ちがいいかも知れませんし,多少の憂さ晴らしにはなるかも知れませんが,失敗や過ちを犯した相手の反省や成長・更生を促すことによって,同じような失敗や過ちを繰り返さないようにさせたいと本気で願うのであれば,「罪を憎んで人を憎まず」という精神を忘れることなく,失敗や過ちの責任はとってもらいながらも(失敗や過ちのの償いはしてもらいながらも),相手に対する向き合い方としては,同じ人間同士として常に共感的に(さらに言えば,相手の成長・更生を信じて粘り強く),できる限り寛容かつ友好的な態度で向き合うことを心がけたいものです。(3)(17)関連