「若かろうと身体強健であろうと,死ぬときは死ぬ。今日まで死なずに来たことこそありがたき不思議である。私だってこう書いた一瞬の後にはもう死んでいるかも知れない。」(『徒然草(日本文学全集07所収)』,内田樹訳,河出書房新社)
○人生は短く,命は儚(はかな)いものです(たとえ他者より長生きできたとしても,宇宙の歴史に比べるなら,ほんの一瞬の出来事であることに違いはありません。)。そのことを肝に銘じ,今この瞬間を決して疎(おろそ)かにすることなく,常に心を込めて今この瞬間を生き,今この瞬間を楽しみ,今この瞬間を味わい尽くしたいものです。そのようにして実り多い幸せな人生を送ることができるなら,たとえ他者より短い人生であったとしても,やがて訪れる死を心安らかに迎え入れることができるのではないでしょうか。これまで生きてこれたことや,この世の中に生まれてこれたことになどに対する感謝の気持ちを新たにしつつ,心静かに人生の幕を閉じることができるのではないでしょうか。そもそも,生きている人間の中に本物の死を経験したことのある人間などいないのであり,死んでからのことは誰にも分からないのですから,死を否定的・悲劇的なものとして捉えること自体が間違っている可能性もありますが。(1)(6)(8)(9)(14)(20)関連