「飢えず,寒からず,風雨に侵されず,心静かに時を過ごすことができれば,それで十分。・・・これ以上を求めるのは驕奢(きょうしゃ)と言わねばならぬ。」(『徒然草(日本文学全集07所収)』,内田樹訳,河出書房新社)
○人間は本来,衣食住さえ確保できるなら(生き続けることさえできるなら),それで十分なのではないでしょうか。たとえどれだけつましいものであったとしても,衣食住が確保できる(生き続けられる)ということは,心から感謝すべき有り難いことなのではないでしょうか。欲張れば切りがありません。欲張り続ける限り,私たちの心が満ち足りるということはなく,結局は,不平不満ばかりを募らせては,自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまうのが落ちです。常に満ち足りた気持ちで幸せな人生を送りたいと願うのであれば,欲張ることをやめ,(生き続けるのに)必要最小限の物だけで満足できるようになる必要があるのではないでしょうか。そして,そのためにも,生きているということは一つの奇跡であり(実際,この世の中に,これ以上の奇跡があるでしょうか。),私たちは本来,生きているというだけですでに十分に幸せなのである,ということに気づけるようになる必要があるのではないでしょうか。生きていることそれ自体に幸せを実感できるようになるなら,私たちはきっと,それ以上に欲張ることが馬鹿らしく,あるいは,恥ずかしくなるはずです。(1)(4)(6)(14)(20)関連