「権勢ある者をほめそやす群衆は,みなたちまち敵になりうる者で,ほめる群衆の数がそのまま嫉む者の数である。」(『ローマの哲人 セネカの言葉』,中野孝次,岩波書店)
○褒められれば嬉(うれ)しくなるのが人情ですが,「出る杭(くい)は打たれる」とも言うように,称賛されたり,脚光を浴びたりすることが多くなればなるほど,誹謗(ひぼう)中傷されたり,罵詈(ばり)雑言を浴びせられたりすることも多くなるのが,この世の常です。心の平安を乱されることなく,自分が好きなことに打ち込み,自分の可能性を十分に花開かせ,実を結ばせたい,そのことを通じて多少なりとも他者や社会の役に立ちたいと願うのであれば,なるべく目立つことなく控えめに,「縁の下の力持ち」として日夜人知れず黙々と努力し続けるような生き方をこそ目指すべきなのではないでしょうか。他者からの評価や世間の評判などのほとんどは,ちょっとしたことですぐに手のひら返しに変わってしまうような無責任でいい加減なものです。そんなもののために,心の平安を乱されてしまったり,自分が好きなことに打ち込めなくなってしまったりすることほど馬鹿らしいことなないのではないでしょうか。(11)(14)関連