「人間は善意で行動するときは,反省を忘れがちである。」(『河合隼雄著作集 第Ⅱ期 11 日本人と日本社会のゆくえ』,岩波書店)
○「地獄は善意で敷きつめられている」とも言いますが,実際,独り善がりな善意ほど怖いものはありません。当人は善意と信じつつ,間違った行動を無反省に繰り返し,どこまでもエスカレートさせてしまう危険性があるからです(悪意に基づく行動なら,どこかで何らかのブレーキが掛かるものですが。)。しかし,当然のことながら,善意ならば何をやっても許されるということはありません。善意で何かをする際には,自分が独善に陥っている可能性について徹底的に内省した上で,自分の行動がどのような結果を招いているかということを十分に見極めつつ,慎重の上にも慎重を期し,できる限り慎み深く控え目に行うようにしたいものです。困っている人や苦しんでいる人を手助けするに際しても,そのような行動によって,対象者のプライドを深く傷つけてしまったり,自分の人生を自分の努力によって切り開いていこうとする対象者の意志や勇気(自信や意欲)をくじいてしまったりすることがないように,くれぐれも細心の注意を払いたいものです。(12)(19)関連