「幸福を他の何かのために犠牲にする必要はないし，自分の幸福よりも優先しなければならないものはない」（『幸福の哲学』，岸見一郎，講談社）
○私たちは，自分が幸せだからこそ，自分の幸せのみならず，他者の幸せをも願い，喜び（他者の不幸を悲しみ），自分の幸せを他者と分かち合うことができるのではないでしょうか。もし自分が不幸であったとしたら，他者の幸せを願い，喜ぶどころか，むしろ，他者の不幸を願い，喜ぶ（他者の幸せを妬む）ようになってしまう危険性さえあるのではないでしょうか。したがって，真っ当な社会人であることを望むのであれば，すなわち，他者と仲良く助け合い，幸せを分かち合うような生き方や人生を望むのであれば，私たちは，まずは自分自身が幸せである必要があるのだと思います。なお，世の中には，自分の幸せを犠牲にしてでも他者の幸せのために何かをしたいと考える人もいるかも知れませんが，幸せであるか否かは心の持ち方次第なのであり，幸せであることに人数制限などないのですから（幸せに対する感度を高め，磨き続けることによって生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら，誰でも幸せになれるのですから），誰かが幸せになるために他の誰かが自分の幸せを犠牲にする必要などまったくないのではないでしょうか。（２）（３）（10）（16）関連
