「人は幸福に〈なる〉のではなく,もともと幸福で〈ある〉のだ。」,「そのことを知った人は,幸福になるために何かの実現を待たなくても,日常の瞬間に幸福を感じることができるだろう。」(『幸福の哲学』,岸見一郎,講談社)
○幸せとは,自分が幸せであることに気づくことである,と言います。私たちは本来,生きているというだけですでに十分に幸せなのに(生きているということは,よくよく考えてみれば一つの奇跡です。),そのことに気づいていないだけなのではないでしょうか。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに気づくことさえできるなら(その気づきに伴う感動や感謝する気持ちを忘れさえしなければ),私たちは,幸運や才能や環境などに恵まれなくても,財産や地位や権力や名声などを手に入れなくても,わざわざ「山のあなたの空遠く」に「幸い」を探しに行ったり,「青い鳥」を探し求めたりしなくても,誰もが幸せになれるのではないでしょうか。生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送りたいと本気で願うのであれば,私たちは,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに常に深く思いを致し,心から感謝する習慣を身に付けるなどして,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになることをこそ目指すべきであると思います。(1)関連