「多くの人々が,富の収奪をめぐる競争に邁進(まいしん)し,富をさらに増やすために金融テクニックを駆使して,経済成長の神話を膨らませてきたのである。」(『経済成長という病』,平川克美,講談社)
○世の中の富には限りがあるわけですから,自分の富を増やすためには,必然的に他者と競い合う必要があります。他者を競争相手(敵)と見なして,必死になって富を奪い合う必要があります。しかし,他者との競争に勝ち,自分の富が増えたからといって,それで幸せな人生が約束されるわけではありません。むしろ,富に執着すればするほど,不平不満,妬みそねみ,恨みつらみ,失意失望,自暴自棄といった心理状態に自分を追い込んだ挙げ句,幸せな人生から遠ざかってしまう危険性は高まるばかりです。幸せな人生を送りたいと本気で願うのであれば,まずは,富に対する執着から解放される必要があるのではないでしょうか。贅沢(ぜいたく)を言わなければ,人間が普通に生きていくのに必要な富など高が知れています。足るを知り,必要最小限の富で満足できるようになるなら,私たちは,他者と競い合う必要もなくなり,他者を協力相手(味方・仲間)と見なして仲良く助け合ったり,幸せを分かち合ったりすることさえできるようになるのではないでしょうか。(1)(4)(11)(14)(17)(20)関連