「よく世間の例を見ると,うまくいかなかった場合には,あれは何が悪かったんだ,誰の責任だと,ほかに責任をなすりつけてしまう。どうしてもそうなりがちなのですが,しかし考えてみると,究極の責任は,やはり自分が取らなければならないはずのものなのです。」(『原始仏典』,中村元,筑摩書房)
○私たちは,物事が自分の思い通りにならないと,それをすぐに他者や運命のせいにしてしまいがちですが,いくら他者を恨んだり,他者を責め立てたり,運命を呪ったり,不運を嘆き悲しんだりしたところで,事態が好転することはありません。そもそも,ままならないのが人生なのですし,他者や運命を自分の思い通りにすることなど,絶対にできないからです。事態を少しでも好転させたいと願うのであれば,人生はままならないものであるという事実をあるがままに受け入れた上で,事態が好転しない原因や責任は自分にある(少なくとも,自分にもある)と考えを改め,自分(自分の考え方や生き方や心の持ち方など)を変えたり,自分がなすべきことに最善を尽くしたりすることにこそ,限りある大切な時間やエネルギーを使うべきなのではないでしょうか。人生はままならないものであるとは言え,人生の主人公はあくまでも自分なのですから,自分の人生を自分の努力によって切り開いていこうとする姿勢だけは失いたくないものです。(前書き)(3)(4)(6)(15)関連