「たとえ貨幣の雨を降らすとも,欲望の満足されることはない。「快楽の味は短くて苦痛である」と知るのが賢者である。」(『原始仏典』,中村元,筑摩書房)
○人間の欲望には限りがなく,強い意志を持って意識的に歯止めを掛けない限り,肥大化する一方であり,いつまでたっても満ち足りるということがありません。どれだけ多くの物を手に入れたところで,すぐに飽き足りなくなり,常に不満を抱えながら,より多くの物(必要以上の物)を追い求め続けるだけの人生になってしまいます。そのような人生ではなく,常に満ち足りた幸せな人生を送りたいと願うのであれば,自分の欲望に歯止めを掛けることによって,たとえそれが必要最小限の物であったとしても,自分が持っている物だけで満足できるようになる必要があるのではないでしょうか。そのためにも,まずは,自分の命なども含め,自分が持っている物の豊かさ,すなわち,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに気づくことが重要であると思います。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに気づき,心から感謝できるようになるなら,きっと欲望の肥大化にも自然に歯止めが掛かるはずです。(2021年7月12日)(4)(6)関連