「健康な自信と,不健康な慢心を隔てる壁はとても薄い。」(『走ることについて語るときに僕の語ること』,村上春樹,文藝春秋)
○人間は自惚(うぬぼ)れやすい生き物であり,自分を実際以上に見積もりがちですが(未熟な若者が劣等感に押し潰されることなく自信を持って前向きに生きていくためには,多少の自惚れは必要なのでしょうが),自分が無知であり,未熟であることの自覚を失い,慢心してしまえば,そこで成長(成熟)や向上は止まってしまいます。そして,成長や向上が止まれば,あとは退歩・退行し(未熟な状態に逆戻りし),堕落する一方となり,自信や誇りを持って生きることがかえって難しくなってしまいます。何歳になっても自分を人間的に成長・向上させ続け,自分の人生を自信や誇りを持って生きられるようになるためにも,自分が無知であり,未熟であるという自覚を決して失わないようにしたいものです。人間は自惚れやすい生き物であるという事実をしっかり心に刻むことによって,初心を忘れることなく,謙虚さを失わないようにしたいものです。(2021年7月11日)(12)関連