○自分は無知であるという自覚があるからこそ,真摯に学ぼうとする姿勢は維持されるのであり,人間的に成長(成熟)・向上し続けることも可能になるのではないでしょうか。したがって,自分は無知であるという自覚がある限り,無知であることは,まったく恥ずべきことではありません(そもそも,物事は,深く知れば知るほど分からないことも増えてくるのが普通なのであり,人間が無知な状態から脱することなど不可能なのではないでしょうか。)。むしろ,「自慢は知恵の行き止まり」とも言うように,生半可な知識を得て自分は何でも知っていると自惚(うぬぼ)れて慢心してしまえば,真摯に学ぼうとする姿勢を維持することは難しく,それ以上人間的に成長・向上することもできなくなってしまうわけですから,自分は無知であるという自覚を失ってしまうことこそが,恥ずべき愚かなことと言えるのではないでしょうか。人間は自惚れやすい生き物であり,特に,未熟な若者がその劣等感に押し潰されることなく自信を持って前向きに生きていくためには,多少の自惚れは必要であると思いますが,自分を人間的に成長・向上させ続けるためにも(そのことを通じて,この世の中において自分の可能性を十分に花開かせ,思い残すことのない充実した人生を送るためにも),自分は無知であるという自覚だけは決して失わないようにしたいものです。(2021年6月25日)(12)関連