「人のいうとおり,あるいはテレビや新聞のいうとおりの場所に,生き方に,しあわせがあると思って,それにそって生きてきたのではないか。」(『詩とことば』,荒川洋治,岩波書店)
○私たちは,社会的に成功し,財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せにはなれないと教え込まれ,それを鵜呑(うの)みにしてしまっています。しかし,財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せにはなれないという迷信こそが,財産などに対する執着を生じさせ,心の目を曇らせ,心の平安を乱し,ひいては,私たちを,不平不満,妬みそねみ,恨みつらみ,失意失望,自暴自棄といった心理状態に追い込み,私たちが幸せになることを難しくさせているのではないでしょうか。曇りのない眼や心の平安を取り戻し,生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送るためにも,そのような迷信から早く目を覚まし,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになりたいものです。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに常に深く思いを致し,心から感謝する習慣を身に付けるなどして,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら,私たちは,社会的成功など収めなくても,誰もが常に満ち足りた気持ちで幸せな人生を送れるようになるはずです。(2021年6月23日)(1)(4)(6)(7)(10)関連