「わるい行為をつつしむのは人を傷つけるからだけではない。自分も傷つくからである。」(『ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門』,ウィリアム・ハート,太田陽太郎訳,春秋社)
○私たちは,他者の支えや助けがあればこそ生きていられるのであり,私たちと他者は持ちつ持たれつの相互依存関係にありるのですから(その意味で,私たちと他者は一体なのですから),他者を競争相手(敵)と見なして足を引っ張り合ったり,傷つけ合ったりするような生き方ではなく,他者を協力相手(味方)と見なして助け合ったり,力づけ合ったりするような生き方こそが,人間として自然で真っ当な生き方と言えるのではないでしょうか。「情けは人の為(ため)ならず」とも言うように,他者を大切にし,他者を益する行動は,必ず回り回って自分を大切にし,自分を益することにつながってくると思いますし,逆に,「人を呪わば穴二つ」とも言うように,他者を粗末に扱い,他者を害する行動は,必ず回り回って自分を粗末に扱い,自分を害することにつながってくると思います(そもそも,人間は,悪行ばかりを繰り返していれば,自分を肯定し続けることが難しくなり,いつしか自分を否定し,自分をないがしろにするようになってしまうのではいでしょうか。)。豊かで安全で便利な社会で生活していると,人間は独りでは生きられないと事実をついつい忘れてしまいがちですが,実際には,数知れぬ他者の直接的・間接的な支えや助けがなければ私たちは生きていられないのですから,その事実をしっかり心に刻み,忘れないようにしたいものです。(2021年6月6日)(3)(11)(19)関連