「幸や不幸は偶然のなりゆきのままに生じたり生じなかったりするものではなく,そこに人間の意志や意欲が働いている。」(『幸福とは何か』,長谷川宏,中央公論新社)
○人間は,自分と他者を比較しては自分は不幸であると思い込みやすく,自分が不幸であることの原因や責任を他者や運命に求めがちですが,人間は本来,生きているというだけですでに十分に幸せなのであり(生きているということは,よくよく考えてみれば一つの奇跡であり,心から感謝すべきことであると思います。),幸せであるか否かは,そのことに気づくことができるか否かに掛かっているのではないでしょうか。すなわち,人間の幸不幸は,他者や運命次第なのではなく,自分の心の持ち方次第なのではないでしょうか。生まれ付き不幸な人間などいませんし,このような境遇に生まれ育てば,あるいは,このような境遇に身を置けば必ず不幸になるというような境遇などありません。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに常に深く思いを致し,心から感謝し続けることができるなら,そのような心構えや心がけで生きていこうとする強い意志を持ち続けることができるなら,私たちは,たとえどのような逆境にあろうとも,幸せであり続けることができるのではないでしょうか。(2021年5月30日)(1)(7)(9)(18)関連