「幸福というのはむろん人それぞれの考え方,受け止め方である。/自分以外の誰かが自分の幸福を認定してくれるわけではなく,自分自身が自分は幸福だと認定すれば,それでもう自分の幸福は成就するのだ。/・・・要は,自分は幸福だと感じ続けられていればそれでいいのだ。」(『君がいないと小説は書けない』,白石一文,新潮社)
○幸せ(幸せであること)に,客観的な基準(この基準を満たせば必ず幸せになれるというような基準)など存在しません。どのような境遇にあろうとも,本人が自分は幸せであると感じているのなら,その人は幸せなのですから(本人が自分は不幸であると感じているのなら,その人は不幸なのですから。)。だからこそ,客観的には同じような境遇にありながら,幸せな人(自分は幸せであると感じている人)もいれば,不幸な人(自分は不幸であると感じている人)もいるというようなことも生じます。要するに,人間の幸不幸は,どのような境遇に身を置くかによって決まるのではなく,自分の境遇をどのように受け止めるかによって決まるということです。したがって,幸せな人生を送りたいと本気で願うのであれば,恵まれた境遇を手に入れることにではなく(自分の努力によってできることには大きな限界があります。),どのような境遇に身を置いても幸せを感じていられるように,幸せに対する感度を高める方向に自分の考え方や心の持ち方を改めることにこそ関心を払い,力を注ぐべきなのではないでしょうか。(2021年4月10日)(1)(7)関連