「必要なモノは全部持っていたのに,自分に足りないモノばかりに目がいっていたので,ちっとも幸せではなかった。あれを手に入れさえすれば自分は幸せになれるのに。あれがないせいで自分は幸せでない,という発想だ。」(『ぼくたちに,もうモノは必要ない。増補版』,佐々木典士,筑摩書房)
○私たちは,欲望の肥大化に意識的に(強い意志を持って)ブレーキを掛けない限り,どれだけ多くの物(必要以上の物)を持っていたとしても,満ち足りるということがありません。常に不満を抱えながら,より多くの物を求め続けることになってしまいます。常に満ち足りた気持ちで生活できるようになるためには,自分が持っている物(必要最小限の物)だけで満足できるようになる必要があり,そのためには,自分が持っている物の多さ(私たちが生活している社会の驚くべき豊かさや便利さ,私たちの人生を成り立たせてくれている数知れぬ他者の支えや助け,私たちの命を守り,私たちが生きることを可能にしてくれている人体の神秘的とさえ言える人体の精妙な仕組みや働きなど)に気づき,心から感謝できるようになるということが欠かせないのではないでしょうか。自分が持っている物の多さに気づき,心から感謝できるように自分の心の持ち方(心構えや心がけなど)を意識的に改め,あるいは,育て上げることさえできれば,それ以上の物を求める(ない物ねだりをする)気持ちは自然に消え失せ,欲望の肥大化にも自然にブレーキが掛かるのではないでしょうか。(2021年1月10日)(1)(4)(6)(7)関連