「進歩に対する迷信が,退歩しつつあるものをも進歩と誤解し,時にはそれが人間だけではなく生きとし生けるものを絶滅にさえ向かわしめつつあるのではないかと思うことがある。・・・進歩のかげに退歩しつつあるものを見定めてゆくことこそ,われわれに課されている,もっとも重要な課題ではないかと思う」(『忘れられた日本人』,宮本常一,岩波書店)
○慢心すれば,柔軟性や向上心を失い,そこで成長や進歩は止まってしまいます。そして,自分では成長し,進歩しているつもりでいても,やがては現状維持することさえ難しくなってしまい,退行し,退歩する一方となってしまいます。したがって,成長し続けたい,進歩し続けたいと本気で願うなら,何歳になっても初心を忘れることなく,謙虚さを保ち続ける必要があります。また,何かを得るということは何かを失うということであり,成長や進歩といったものも,何かを犠牲にした上でしか成り立ち得ないものなのですから,成長や進歩を求めて決断し,行動するに当たっては,自分は何を得るために何を失おうとしているのか,という自覚だけは常に持っていたいものです。(2020年12月30日)(11)(12)関連