「自らの幸福は自らが最もよく知っている。・・・私は幸福でしょうかと,誰が他人に尋ねるものか。」(『新・考えるヒント』,池田晶子,講談社)
◯幸せであるというのは,本人が自分は幸せであると感じているということです。どのような逆境にあろうとも,自分は幸せであると感じているのなら,その人は幸せなのです。逆に,どのような順境にあろうとも,自分は不幸であると感じているのなら,その人は不幸なのです。幸福度を計る客観的な尺度などありません。人間の幸不幸というのは,主観的な問題なのであり,要するに幸せを感じ取る感度の問題なのだと思います。生きる喜びに満ちた幸せな人生を送りたいと願うのであれば,財産や地位や権力や名声などを手に入れて社会的な成功を収めること(外的な条件を整えること)にではなく,普通の平凡な生活に幸せを感じられるように,ひいては,生きていることそれ自体に幸せを感じられるように,幸せを感じ取る感度を高め,研ぎ澄ますこと(内的な条件を整えること)にこそ,大切な時間やエネルギーを使いたいものです。(2020年8月26日)(7)関連