「自分の欲しいものが手に入るのは大きな幸福である。しかし,自分の持っているもののほかに何も欲しがらないのは,もっと大きな幸福である。(メネデム)」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯欲しがっていたものが手に入れば,一時的には幸せな気分を味わえるかもしれません。しかし,人間の欲には切りがありませんので,何を手に入れたところで,結局はまた別の何かを欲しがるようになってしまいます。満ち足りるということがありません。他方,何とかして欲にブレーキを掛けることさえできれば,無い物ねだりをすることなく,自分が持っている物だけで,自分に与えられている物だけで満足できるようになるのではないでしょうか。常に満ち足りた気持ちで幸せな気分を味わい続けることができるのではないでしょうか。自分が今ここでこうして生きていられることを当たり前と思うことなく,その有り難さに気づき,心から感謝する気持ちを呼び覚ますことによって,自分の欲にブレーキを掛けられるようになりたいものです。(2020年8月18日)(4)(6)(7)関連